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輝きの世界を!・其の四 [┣小ネタ(輝きの世界を!)]

前回の最後にスコールの名を呼び、『見せかけの旅人』に襲い掛かったのは、果たして誰なのか?


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10「スコール、大丈夫か?」
8「……ああ」
10「ボーっと立ってたように見えたぞ! ナーニやってんだ?」
8「かなりの数の敵に囲まれたのでな。アレが最後の一体だった」
10「そっかー」
8「おまえこそ一人で何していたんだ?」
10「ひでー! 食材探して来いって言ったの、クラウドやスコールじゃねーか!!」
8「……そうだったか? 済まない」
10「忘れられてたのか、オレ?」
8「……いや、済まない」
10「……」
8「……」
10「んー、まあいいや! 早く戻ろうぜ! この辺も敵が多いみたいだしな!」
8「……(やつらの元には、……戻りたく……ない)」
10「行くぞ、スコール!」
8「……(そういうワケにも、行かないだろうな)」
10「早くー!」
8「……(まともに顔など……あわせられるか)」


10「ただいまーッス!!」
9「お帰り、無事だったか? って、スコールも一緒なのか?!」
8「……(憮然)」
7「……バッツはどうした?」
8「……(なぜあんたが俺に訊く?)」
9「一緒じゃ無いのか、スコール?」
8「なぜ俺に訊く? 俺はバッツの居所など知らない!」
10「な、ナニ切れてんだよスコール? いつもなら真っ先に心配すんのにー」
7「バッツは、おまえを追いかけて行ったからだ」
8「……(なぜあんたは、大事な恋人にそんな事をさせられるんだ?)」
9「チョコボごっこの誤解を解くために決まってんだろ!!」
8「……チョコボごっこ? (いい歳して、『ごっこ』だと?)」
9「そこ突っ込むトコじゃねーよ!」
10「チョコボごっこって何スか? 楽しそうッス!」
7「楽しくなど無い。落ち込んだバッツにチョコボ扱いされて泣きつかれた挙句、そこの精神未成熟少年に恨みがましい視線を浴びせられるんだからな」
8「…………何、だと……?」
9「だから、誤解だって言ったじゃん! クラウドとバッツは別に何でも無いから!!!」
8「どこへ行ったんだ?!!!」
9「分かんねーよ! 肩を落としたまま、とぼとぼとスコールの走り去った方向に歩いて行ったから、てっきりどっかで合流したと思ってたんだ!!!」
8「おまえは……! なぜこんな危険な状況と分かっていながら、バッツを一人で行かせたんだ?!!!」
7「……ジタンを責めるな。そもそも一人で逃げ出したおまえが悪い」
8「俺のせいでも構わない! だが、なぜ一人で?! どうして誰か付いて行かなかった?!!」
7「じゃあ訊くが、俺が一緒に居たら、おまえはバッツの話を聞いたのか?」
8「……っ」
10「あの~、オレも一人で食材探してたんスけど……」
7「悪かったな、ティーダ。こんなにこの辺りに敵が集まっていると予測できなかったからな。今後は二人以上で行動した方が良さそうだ」
8「……っ!!!」
9「スコール! 一人で行くなって!!! 今クラウドが言ったばっかだろ!!!!」
7「放っておけ」
9「……でも!」
7「仕方が無いから、俺達も三人でバッツを探しに行くか」
10「ナンかよく分かんないスけど、バッツが行方不明でスコールは一人で行っちゃったッスよね? 戻って来た時のために誰かここに残った方が良くないスか?」
7「……そうだな。じゃあティーダ、ここに残ってくれ」
10「え? オレ?」
9「帰ってきたばっかで疲れてるだろうし、言いだしっぺだろ?」
10「ま、敵が襲ってきてもオレなら大丈夫ッスからね!」
7「ちょうど良い、メシを作って待っていてくれ」
10「了解ッス!」


**********


仲間たちから、行方不明扱いをされていたバッツは、次元城の天辺に立っていた。
極度の高所恐怖症。
足場は広いが、この城自体が宙に浮いているので、正直バッツはこの場所が得意ではない。
それでも、ここに上った理由は、この見晴らしの良い場所なら、スコールを見つけやすいだろうとふんだからだ。
それに……。
ここは、バッツが自分のクリスタルを手に入れた場所。
その時、スコールはバッツの隣に居た。
自分の浅慮な行動で、ジタンを危険に晒してしまった事をいたく悔やんでいたバッツを叱咤激励し、バッツとエクスデスの戦いを黙って見守り、戦後には労いの言葉までかけてくれた。
そうして、紆余曲折を経て念願のクリスタルを入手した時、バッツは見たのだ。
……スコールの笑顔を。
その直後、ジタンが無事に戻って来た事による興奮で、何となく曖昧になってしまったが、あれ以来バッツはあの時のスコールの笑顔が忘れられない。
正確には、忘れられないと言うより、何かが奇妙に引っかかる。
――――記憶に無い既視感。
初めて見たはずなのに、なぜか懐かしい。
……と同時に、その笑顔の傍らで、自分は何とも形容しがたい感情を抱いていたような気がする。
だが、そこから先がもやもやして、何ともあやふやなままなのだ。
もう一度、あのスコールの笑顔を見れば、何かを思い出せるかも……。
思い出さないまでも、同じ感覚は蘇るかも知れない。
そう考えて、バッツはあの手この手でスコールに笑ってもらおうと、考えられる限りの行動に出てみた。
もちろん、スコールとて全く笑わない鉄面皮ではない。
しかし、バッツが片手で数えられる程度見たスコールの笑った顔は、あの……懐かしさを伴う笑顔とは少し違う。
どこがどう違うと聞かれても、バッツ自身上手く説明できないが、例えるなら、クラウドが時々見ると言う『眩しいものでも見るような穏やかな笑顔』が、バッツの望みに一番近いだろう。
その笑顔が見たい一心で明後日な方向の努力をして、結果スコールを傷つけてしまったのだ。
しかも、「気付くまで悩んでろ」とジタンに言われていながら、未だにスコールが傷ついた理由さえ分からない。
そのうえどうやら、追い討ちまでかけてしまったと言うのだ。
「スコールの誤解を解いて来い」と送り出されても、実のところスコールが何を誤解したのかも分かっていない。
そのまま伝えれば良いとボコ(※クラウド)は言ったが、本当に間違っていないんだろうか。
――怒らせるより嫌われるより、また傷つけてしまう事が、……怖い。



バッツが悩んでいる同じ時、スコールは焦燥感を抑えきれずにただひたすら走っていた。
『肩を落としたまま、とぼとぼと歩いて行った』というバッツの姿が、容易に想像できたからだ。
あの時――バッツの軽率さのせいでジタンがクジャの罠に落ちた時も、傍から見て危ういと思うほどに落ち込み、とても敵と戦えるような状態ではなかった。
前へ進む時も落ち込む時も、およそバッツには加減というものが無い。
そんなバッツを一人で送り出すとは、クラウドもジタンも何を考えているのか!
いや、今は彼らを責めている場合じゃない。
一刻も早くバッツを見つけ出し、無事な姿を見たい。
先程、かなりの数のイミテーションと戦ったので、スコールの体は相当に疲れていた。
今、彼の足を前へ進めているのは、無事にバッツを見つけ出したいという思いだけだ。
そんなスコールの前に――。

魔「おや、こんなところで何をしているのですか、獅子?」
8「……アルティミシア!」
魔「クリスタルを手に入れて、少しは現実が見えたかと思いきや、未だにこんなところで彷徨っているとは」
8「邪魔だ、退け」
魔「……ふ。その苛立ち、隠せていませんよ」
8「おまえに付き合っている暇は無い!」
魔「ふ、ふふ。時が惜しいようですね。だがせっかく会ったのだから、相手してもらいましょう」
8「……俺の道を塞ぐなら、斬る!」
9「スコール!」
8「……ジタン!」
7「一人で走り過ぎだ」
8「クラウド……」
7「魔女は俺達が止める。おまえは先に行け!」
魔「……無粋な真似を……」
7「相手に不足があるとは言わせないから安心しろ」
9「レディに手を出すのは好きじゃないんだけどさー、仲間意識ってヤツ?」
8「……済まない」
9「スコール! バッツに会ったら、言う事を間違えるなよ!」
7「さっさと行け!」

仲間の助けに後押しされ、再びスコールは走り出す。
しょんぼりと項垂れているであろうバッツを見つけて、今度こそ真実を告げるために。
そんな獅子の決意に呼応するかのように――。
――……スコールのクリスタルが、燦然と輝いたのであった。


続く


**********


……終わりませんでした。
でもほら、次回で終わりそうですよ、ええ。
今晩徹夜すれば、明日のバッツの日までに何とかなるかな~。
触手奪われたから厳しいかも(笑)。

スコール心の声が分かるのは、バッツ、ジタン、時々クラウド。
ティーダには無理です(断言)。
空気読めないとか、言わないであげて下さい。

頑張れスコール。
スコールだけやたら敵と戦っている気がしなくもないが、それはえ~と、ルフェインを取って来た時のスコールの雄姿があまりにも格好良かったからだよ、うん。
ちなみにバッツは誰とも戦っていません。強運だからね。
でもバッツにも多少の苦労はして欲しいので、敵より恐い高所に立たせてみました。

では次回。
「クリスタルは誰がために輝く」でお会いしましょう。



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