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輝きの世界を!・其の参 [┣小ネタ(輝きの世界を!)]

前回スコールの「失いたくない」は、確かエルおねえちゃん……だったと思う。
そのせいで人と接するのに距離を置くようになったとか、何かそんな設定じゃなかったっけ?
まー、わたしの記憶が間違っていても、この小ネタではそういう設定にしちゃえ!!!
それにしても、クラウドは出てくるだけで、色んなものを持っていく美味しい男だな。
ぶっちゃけクラウドは好きだし贔屓キャラなので、何だかんだと絡んでくれると嬉しい。


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「……とんだ茶番だ」と捨て台詞を残して、またもやどこかへ行ってしまった傷心のスコール。
敵の出現頻度も上がり、一人では危険だと分かっていながらも、信じられない光景に呆然としてスコールを追いかけられなかったジタン。
ジタンは動揺を隠せないまま、視線の先でしっかりと抱きしめ合うバッツとクラウドを詰問する事に……。

9「な、なな、何してるんだよ、二人とも?!!!!」
7「見ての通りだ、分からないのか?」
9「分かるかよ!! て、ええええええ?!!! 本当に?!!!」
7「チョコボごっこだ」
9「…………は?」
5「ボコー……」
9「……こ、の! 二十歳児がーーーっ!!!」
7「怒鳴るな」
9「これが怒鳴らずにいられるか! おまえらのことをスコールが誤解しちまったんだぞ!!!」
5「……スコール?」
7「何をどう誤解したんだ?」
9「それはそのー……つか、一々言わなくても、想像ついてんだろ?」
7「……ふ。相変わらず、ネガティブなヤツだ」
9「オレがスコールだったら、クラウドにだけは言われたくない」
7「悪かったな」
5「スコールが、……どうかしたのか?」
9「どうかしたのかじゃない! 一人で残ったバッツを心配して戻ってきたのに、おまえらがしっかと抱き合ってるから、スコールの傷心に追い討ちをかけたんだよ!」
5「……追い討ち、……って?」
7「バッツ、スコールの誤解を解いて来い」
5「え、でも、おれ……」
9「……とどめをささせる気かよ?」
7「とどめかどうかを判断するのはスコールだ」
5「…………おれ……」
9「……」
5「スコールに、……ナニ言っていいか、分から、ない」
7「……」
5「言えば言うほど、どんどん……スコールを傷つけそうで、……怖い」
9「……バッツ」
7「その半ベソの顔で、そっくりそのまま言ってみたらどうだ」
5「……そ、そうなのか?」
7「ついでに、どうしてゲームを始めたかも説明してやるんだな」
5「……う、うん」
7「それから、衣裳は戻してから行け。その格好(※踊り子)じゃ、からかってると思われても仕方ないぞ」
5「……う、ん」
9「……」
5「……行ってくる」
9「バッツ!」
5「…………え?」
9「イミテーションが相当数潜んでるから、気を付けろよ」
5「……うん」

9「……あいつ、大丈夫か?」
7「心配してるのは、対イミテーションか? それとも対スコールか?」
9「両方! 本当にバッツって……(溜息)」
7「まあ、運が強いから簡単にやられる事は無いだろう」
9「……これ以上、スコールを傷つけないと良いけどなー」
7「バッツの発言や行動で一々傷付くようじゃ、仮に上手く行っても先が見えてる気がするが……」
9「んー、そりゃそうかも知れないけど……恋する男は繊細なんだよ」
7「……ふ、あれを繊細と呼ぶのか」
9「なあ、クラウドってさ、スコールにキツくないか? 同属嫌悪?」
7「あんなガキと一緒にするな」
9「もうちょい明るいほうがモテるぜ?」


**********


一方その頃。
傷心のスコールは、次々に沸いてくるイミテーションと戦っていた。
何も考えずに済むからちょうど良いとばかりにガンブレードを構えたが、襲ってくるイミテーションの中に『虚構の兵士』と『見せかけの旅人』を見つけ、体中の血が逆流するような感情に翻弄されていた。
今しがた、自分の視線の先で熱い抱擁を交わしていた二人が、脳裏にまざまざと浮かぶ。
自分などにも屈託なく明るい笑顔を向けてくる、とても年上とは思えない仲間――バッツ。
他人とは一定の距離を保ちたいといくらこちらが構えても、気が付けば、自分の敷いた防御ラインの内側まで入り込み、悪びれた様子も無く、ヘラヘラと笑いかけてくるのだ。
そんな近しい距離に最初は戸惑いもあったが、あまりにも傍に居る事が自然過ぎて、いつしか心地良いとすら感じていた。
彼を思う自分の感情が何であろうが、その距離を保っていたかった。
いや、ジタンに自覚を強要されるまでもなく、もっと近くに居る事を心の奥底で無意識に望んでいたのかも知れない。
だが、その邪な思いを気取られ、万に一つでもこの心地良い距離感を失うくらいなら、自分の感情を押し殺し気付かぬ振りを続ける事など大した問題では無いのだ。
それでいながら、彼の一挙手一投足に、故意に閉じ込めていた感情は頭をもたげ、自分の手には負えないほど、大きく膨らんで揺さぶりをかけてくる。
そうして鮮烈に思い出すのだ。
大切なものを失った過去を……。
幼くて小さな自分の世界。
突然消えてしまった、大事な年嵩の彼女。
だからこそ――…………。
……どんな形にせよ、失いたくなかったのに……。

なぜ選りによって相手がクラウドなのか。
自分に向かってくる無感情な『虚構の兵士』を凝視し、スコールは納得できない思いで喚きたくなっていた。
何人かを除けば、敵も味方も関係無くほぼ全員が、クラウドとスコールをよく似ていると言う。
バッツやジタンなどは、「一見すると似た雰囲気だけど、実は全然違う」と一笑に付してしまうが、実のところスコール自身は「自分と似た空気を纏った人間」とクラウドを認識していた。
――無口で無愛想、自分の周りに壁を作って他人を寄せ付けない――
そんな辺りが、酷似していると考えていたのだ。
誰が壁を作っても、そんなものは不思議な力で擦り抜けてしまうバッツの事だ。
クラウドにとっても、その無遠慮な侵食は、夢を見る心地になったのかも知れない。
バスターソードを握る『虚構の兵士』の指を見る。
バッツの髪を撫でていたクラウドの指の模倣。
あの首から肩にかけてのラインに、バッツは顔を埋めていた。
再び彼らの仲睦まじい抱擁を脳裏に描き、スコールは獅子の雄叫びを挙げた。
それは、自らが求めて止まなかったものを得た、似て非なる者への嫉妬の咆哮か――。
そうして、『虚構の兵士』は霧と散り、跡形も無く消え去ったのであった。
だが、スコールの胸には虚しさが去来する。
こんなところで偽りの彼を倒したところで、現実の何が変わるわけでも無い。
何度繰り返しても、失ったものを取り戻す術など、……持っている由も無いのだから。
「逃がすか!」
項垂れかけたスコールの背後から聞こえた声は……。
散々自分を掻き乱しておいて、そのくせ自分の手を掠りもせず、他の男にしがみついていた――バッツの幻影。
本物で無いことくらいよく理解している。
体は反射的に回避するが、攻撃を仕掛ける命令を受け付けない。
このまま回避を続けたところで、敵は無尽蔵の体力を持つ偽りの命、こちらは生身の人間だ。
いつか、息切れしたところを攻撃されかねない。
頭は「切り捨てろ!」と命令を繰り返すが、肝心の体はガンブレードを『見せかけの旅人』へ向けられない。
感情が理性を超えて支配する。
――前にも同じような事象があった。
バッツに『幸運のお守り』を預けられた時から、本人と再会するまでの間だ。
その困惑は、バッツと共に居る事で、克服できていた筈なのに……。

「スコ-ル!!!」

森の奥から矢のように飛んできた、聞き慣れた声の持ち主は、スコールの名を呼ぶが早いか電光石火の勢いで『見せかけの旅人』に襲い掛かったのである。


続く


**********


いや~、今回は大変でした。
さすがにスコールの心情吐露の場面では、セリフの羅列で進むワケに行かず。
だって、8「……(俺は……)」の繰り返しで行が埋まるのは、さすがにねぇ。
しかもスコールが完全ネガティブだから、暗いのなんのって。……ふぅ。

似て非なる7と8ですが、スコールからクラウドは似ていると認めてはいても親近感を覚えているワケでなく、お互いの壁と壁分に、道路を挟んだくらいの距離感。
逆にクラウドからスコールは、完全に年下を見ている目線。
バッツは無意識に壁をすり抜け、ティーダは壁自体を完膚無きまでに壊し、ジタンは律儀にノックはするが返事が無くても入ってくるタイプ、かな。

……次で終わるといいな(遠い目)。



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