2011 バッツの日 Part2

0時ジャストにおめでとうと言った話の続きです。
「欲しいのはモノじゃない」と言われた旦那様の答えやいかに。




8「……ただいま」
5「おかえり……って、え？」
8「おまえにだ」(⇒プレゼント)
5「モノはいらないって言ったじゃん」
8「しかし、「何もいらないと口で言っても、花とケーキだけは鉄板だから！」とベアトリクスや女性の兵士に言われたので……」
5「……そ、そうか」
8「本当にいらなかったのか？」
5「いや、うん、ありがとな」
8「……(嬉しくないのか？)」
5「あ、いや、嬉しい嬉しいぞ！　あ、で、そのもう片方の袋はナンだ？」
8「カレーの材料だ」
5「カレー？　食いたいのか？」
8「俺が作れる唯一の料理がカレーなんだ」
5「作ってくれんのか？」
8「毎日、家事をしてくれている妻を休ませるのが、一番のプレゼントになると言われ……」
5「ベアトリクス達から？」
8「外へ食事に行こうとも考えたが、予約している時間が無かった」
5「……」
8「カレーは嫌いか？」
5「いや、好きだけど……」
8「……だけど？」
5「今日、土用の丑の日だから、うな重の用意しちゃったんだよな」
8「……」
5「……あ！」
8「……そうか、じゃあカレーはまた別の機会に……」
5「あ、いや！　せっかくだから、カレー食う食いたい！　作ってくださいお願いします！」
8「しかし、土用の……」
5「どうせ、二の丑だから別にいいよ！　うなぎは明日にでも食おうぜ！」
8「……」
5「スプーン持って待ってっから、早く作ってくれよ！」
8「ここじゃない」
5「……へ？」
8「庭で作る」
5「庭？？」
8「軍飯だからな、習った時は屋外しか想定していなかった」
5「お！　飯盒炊爨か！　いいな！」

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5「うまーっ！」
8「久しぶりなので、少し不安だったが……」
5「すごいうまいぞ！　これだったら、一週間に一回くらい作ってくれていいんだぞ！」
8「作るだけで三時間かかることを考えたら、一年に一回で十分だ」
5「何度も作っているうちに慣れるから、作る時間は短縮できるさ！」
8「……そうか？」
5「想像していたより器用だから、覚える気になったら、料理もバッチリ出来るようになるんじゃないか？」
8「作ってもらった方が良い」
5「即答かよ？！」
8「気が向いたら、作ることも考えよう」
5「気が向いたら？」
8「気が向いたら、だ」
5「まいっか！　なあ、たまにはこうやって庭で飯盒炊爨しようぜ」
8「気に入ったのか？」
5「親父と旅してた時のこと、思い出す」
8「……」
5「満天の星と旨い飯があって、大事な家族が隣にいる……」
8「……(家族、か)」
5「おかわり！」
8「……まだ食うのか？！」

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8「……バッツ」
5「ん？」
8「正解は何だったんだ？」
5「ナンの話だ？」
8「おまえが欲しい“モノじゃない”プレゼントとは何だったんだ？」
5「え～？　今更聞くのか？」
8「……(今更だろうが、きちんと知りたいじゃないか)」
5「ちゃんとくれたじゃん」
8「……え？」
5「来年も期待してるぞ」
8「……(カレー、か？)」
5「はは、……カレーでも何でもいいけど」
8「……？？」
5「嬉しかったぞ！　ありがとな！」

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